部門やチームを持つリーダーにとって、部下が思い通りに動いてくれないという事は尽きない悩みだと思う。
筆者自身も、サラリーマン時代に多い時は200名を超える部下を持ちながら、試行錯誤していた時期もある。
何回教えても、同じようなミスばかりを繰り返したり・・
常識的に考えればやらないような事をやらかしたり・・
ホウレンソウすらままならない部下がいたり・・
とにかく「なぜ??」という単語が頭に浮かばない日がないくらいに、日常的に部下に対してのイライラを募らせていた時もあった。
チームリーダーはチームの業績を上げるためにどう部下と向き合い、どのようなコミュニケーションを取って動かして行けば良いのか?
今回は部下を動かすために、必要なコミュニケーション方法について考えて行きたいと思う。
目次
管理型マネジメントによる外発的動機づけ
なぜ部下は動かないのか?
あなたは、部下の行動をどの程度把握しているだろうか?
もし、「概ね知っている」というのなら、あなたの部下は疲弊しているかもしれない。
朝一は、朝礼から始まり、昼前に午前中の報告があり、日中の活動中でも何かしらの情報があればリアルタイムで報告を要求し、夕方にはミーティング。
さらには、エクセルなどで業績管理表的なものを運用し、メンバー全員の数字状況が手に取るように把握している。
一日の最後には、日報を提出しその日の活動を振り返る。
そして、会話をすれば不出来な部分にスポットライトを当てて、なぜ、そのような事になったのかと理由と原因を徹底的に掘り下げ、翌日からの改善を「ああやれ、こうやれ」と細かく指示をし、最後には「出来るよな!」と念押しする。
もちろん、チームリーダーの責務として、必要な範囲と必要なタイミングで部下に報告を求めるのは当然だが、多くのチームリーダーが必要以上に報告を要求している。
そして多くの場合、業績がよろしくない部下に対しての管理強度が上がる。
不出来な部下へと注意を注ぐ時間が長くなり、より一層出来ない部分ばかりが見えるようになる。
会議やミーティングでも、厳しい視線が送られて批判的な態度となることさえあるだろう。
営業などでは、新規訪問1件ごとに報告などはザラではないだろうか。
こうなると部下のモチベーションはどうなるか? あたり前だが、本来必要なはずのワクワク感を伴ったモチベーションなど上がるはずもない。
業績が悪い部下にとっては底なし沼である。
本来のパフォーマンスを発揮出来ないばかりか、仕事へのモチベーションも上がらず、やりがいも感じなくなる。
最悪の場合は退職、居続けたとしても「お金のために働く」と割り切って、もともと抱いていたその仕事への情熱すら捨て去り、叱られないための仕事をする事が目的となり、結果として上司から見たらお荷物のぶら下がり社員となっていく。
さも、最初からダメ社員だったかの如く・・
「あいつは何回言ってもダメなんだよ!ホント使えない!」
使えなくしたのは他でもない上司なのだが・・
しかし、上司も決してダメな部下を作り上げようとしているのではない。出来の悪い部下がミスする事を未然に防ごうとしていたり、業績を回復させたい一心の行動であり、チームリーダーとしての責任を全うしようとしているのだ。
この不幸は、徹底的な管理型マネジメントにより、目標や行動を管理指導する事によって引き起こされる。
自己効力感の喪失
人は本来、自らが「やりたい」と心躍らせるものには主体性を発揮する。
しかし、好きで始めた仕事であったとしても、他者から必要以上に干渉されることによって「やりたい」から、「やらなければ」に変化する。
「やらなければ」叱られる
「やらなければ」居心地が悪くなる
「やらなければ」立場がなくなる
このように、不出来な部分にスポットを当てて、改善するために「ああやれ、こうやれ」と指導する事を、外発的動機付けと言う。
外発的動機付けでは、部下の「この状況を脱したい」という、現状回避の欲求しか湧き立たせることが出来ない。
もちろん、現状回避を動機としたパワーも必要ではあるが、人を大きく前進させるのは目的追求の動機なのだ。
「この状況をなんとかしなくては・・」だけでは弱い。
そして、出来ない部下へと変化させてしまう大きな原因は、ダメだダメだと言い続ける事による、自己効力感の喪失だ。
自己効力感とは、自分の中に目標達成能力が存在していると認識する事である。
つまり、自己効力感を喪失した部下は、自らの行動の結果を「どうせ無理」とか「また目標未達になる」と予期してしまい、期待される行動と結果に結びつきにくくなる。
ちなみに、子供に対しても同じ事が言える。自分の子供に「なんでこんな事が出来ないんだ!」と繰り返し叱る事で、自己効力感が失われ、自分に自信が持てない子になってしまうのだ。
一種の暗示である。
このように、外発的動機づけを中心としたマネジメントでは、部下の心の底から湧き上がるような「やりたい」を引き出し、主体的行動へと導く事は厳しい。
絶対ではないが厳しいのだ。
意思決定を引き出す事による内発的動機づけ
では、どのようにしたら部下はチームリーダーが思うように動き、期待する結果を出し続ける事が出来るのか?
外発的動機づけの対極にあるのが、内発的動機づけである。
内発的動機づけとは、部下自らの内から湧き出るモチベーションの事だ。
「やらなければ」の義務感からくる行動ではなく、「やりたい」という目的追求の動機から生まれる主体的行動である。
内発的動機づけを引き出す手段として、3つのやるべき事を提案したい。
チームとしての目的を明確にする
まず、チームリーダーがやらなくてはならないのが、チームとしてどこに向かっているのかを明確にする事である。
会社のビジョンや理念はあるだろう。しかし、それでは大きすぎて自分事として捉えないメンバーが多いのだ、だからこそチームとしての目的が重要なのだ。
数字としての計画や目標だったり、何かしらの成果物を完成させるミッションは、年次、月次で明確に数値化、言語化されていると思うが、何のためにそのミッションを遂行し目標に辿り着くのかが明確に言語化されていない組織も多い。
言い換えれば、その目標を達成したらあなたのチームが「どうなるのか」という未来を見せる事でもある。
そして、年次や月次の短期的な目線だけでなく、このチームが5年後10年後にどうなっていたいのかという、中長期的な目線が大切なのだ。
単なる業績貢献とか、会社のためにとかではない。
もっと、そこで働く当事者がワクワクして「やりたい!」と思えるようなものである。
人は、目的追求の動機に突き動かされた時にはものすごいパワーを発揮する。多少の壁に阻まれたとしても、乗り越えるためにあらゆる方法を思考し能動的に行動する。
チームとしてのワクワクする目的が明確になっていると、メンバー全員が一枚岩となり目的地に向かう推進力が上がるのだ。
そして、その目的がある事でメンバーの拠り所にもなり、迷った時の道しるべにもなる。
期待をかける
ピグマリオン効果といものをご存知だろうか?
心理学における心理的行動のひとつである。
人は期待をかけられると、それを実現させようと努力するのである。
必ず、その期待に応えるかどうかは別であるが、期待に応えようと努力することは間違いない。
例えば
「君が個人目標を達成させると、チームの目標も達成するから頼むな!」
「君の個人目標が未達だと、チームの足を引っ張るから未達は勘弁してくれよ!」
言ってる意味は同じく目標を達成させろという事であるが、どちらが言われた側の意欲を引き出すかは明らかである。
業績がよろしくない部下を目の前にすると、ついつい感情が優先されたコミュニケーションになりがちだが、チームリーダーの役目はチームの業績を向上させることだ。
であれば、部下が気持ちよく動いてくれるようなコミュニケーションを心掛けた方が、自分にとってもメリットがあるのだ。
アドバイスはしない
アドバイス、やり方を教える、指導する。
いずれの表現でも構わないが、外発的に「ああやれ、こうやれ」と言われたことは実行力が弱い。
一方で、自分で「こうしよう、このやり方でいこう」と決めた事は実行力が高い。
人は誰でも自分で意思決定したいのだ。
でっ、よくありがちなのが、「どうやるか自分で決めて報告ちょーだい」である。
これでは、本質的な意思決定を引き出すのは難しい。one on oneで向き合うからこそ、本質を引き出す事が出来る。
どの道を行くかを決めるのは部下本人であるが、それを引き出すのはチームリーダーの仕事である。
そして引き出すためのコミュニケーション方法は、傾聴と質問でしかない。
部下の言う一語一句に耳を傾け、成功出来る事を信じて本気で向き合う。
そのコミュニケーションで大切なのは、原因(過去)を掘り下げる事ではなく、未来に向けて何が出来るかを探る事である。
従来であれば、「何が原因で未達になったのか?」から始まり「どうすれば改善出来るのか?」という打ち手へと話が進むと思うが、ここでの会話は先述した通り、未来に向けて何をするのか?が中心になる。
なので、何が原因なのか?には直接的には触れず、まずは「達成するためには何をやれば良いと思う?」や「ミスを回避するためには何が必要だと思う?」などの質問から入る。
あるいは、「もし達成できないとしたら、何が考えられる?」や「達成を邪魔しているものがあるとしたら、どんなことが思いつく?」などだ。
そこから本人が導き出した答えに、今度は確認の質問である。
「本当にそう思うの?」や「そう考える根拠は何?」とか「他には何かないの?」と、ここで原因にさりげなくアプローチする。
ちなみに「なぜ?」や「何で?」は思考停止を引き起こすので、極力使用を控えたいワードだ。
本人が過去の原因を振り返っているのであれば、ここで建設的な会話が出来て、チームリーダーとしてもある程度納得できる打ち手が聴けるのではないだろうか。
本人が振り返りをしてなくて、形骸的な会話になった場合も、叱責するのではなく、問題解決に向けた本質的なアプローチをするには準備不足である事を伝え、後日に時間をとることを伝える。
そのような対話から引き出された部下の意思決定は、必ずやチームを良い方向に向かわせてくれるだろう。
最後に
つまり、部下に優しくなれと?
と言う声も聞こえそうだが、そうではない。
チームリーダーの最も大きなミッションは、チームの業績成長と次世代のリーダーを育成することだ。
その目的に向かう道筋で、どのようなマネジメントを選択するのか? その上で一番理にかなっている手段が、部下の内発的動機づけを引き出すという事なのだ。
外発的動機づけを中心としたマネジメントでは、YESマンしか生み出さない。
もちろん、よしよしと部下の頭を撫でているだけでは、到底ミッションをやり切るのは無理だ。
当然そこには、厳しさも必要になる。
だが、厳しいだけのリーダーでは良いチームは創れない。
厳しくて思いやりがあるからこそ、部下があなたに本音を語れて、チームにとって不都合な事実も上がって来るようになる。
厳しいだけでは、部下の回避欲求が強く働き、不都合な事実は上げにくくなるだけだ。
そうなると、あなたが下す、チーム運営に関わる意思決定にも影響するだろう。
チームは部下にとっても、あなたにとってもホームでなければならない。
そこには心理的な安全性が必要であるという事だ。
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