働く人たちにとっての永遠のテーマとも呼べるのが「性格の合わない上司とどう付き合えばいいのか?」です。
「〇〇部長って、細かいところまでイチイチ掘り下げて聞いてきて、私が出来て無いとわかると、ネチネチネチネチ小言が長くてホント嫌になっちゃう!」
「うちのマネージャーは、何かにつけて意思決定が遅いんだよな~!、この前の予算会議でも、ほぼ全員が合意した状況だったにも関わらず、いらん問題点出してきて結局決まらなかったしな、とにかく面倒くさい人なんだよ!」
「あの課長は、とにかく部下に対して好き嫌いで評価してるんだよ!この前もお気に入りのAさんだけ誘って飲みに行って、新しいプロジェクトの方向性について相談してたらしいよ、まあ、Aさんも大した実力無いのに重宝されちゃって大変だよな~」
オフィスでの井戸端会議の話題や、アフターファイブの酒の肴になるのは圧倒的に上司に対する愚痴ですよね(笑)
しかし、そんな場で愚痴を言って発散し、忘れられるほど簡単ではないケースが多いのも、この上司部下における人間関係の問題です。
では、何故このような問題が起こるのか、どうすればこのような悩みから解放されるのかを考えて行きましょう。
目次
なぜ、合わない上司がいるのか
そもそも会社という組織は上司部下に関係なく、多様な人材が共通の目的に向かい、チームとして機能する事を求められる場所です。
人間関係という永遠の課題
これは、会社に限らず全てのコミュニティが同じ状況と言えるでしょう、強烈に共通する価値観を有した組織(例えば宗教団体やNPO法人など)でさえ、会社と同じように人間関係に悩む人たちは沢山います。
人間関係の問題とは、人が幸せな人生を送るための永遠のテーマと言っても過言ではありません。
多様な価値観の形成
先述した通り、人は多様性があり複雑な生き物です。
なぜ多様で複雑なのか? それはご存じのとおり、人はそれぞれが異なった環境で育ち、異なる教育や人から影響を受けて、人間形成され来たからです。
一般的には0歳から7歳までの「刷り込み期」と、7歳から14歳までの「モデリング期」にその先の人生観の根幹となる、価値観や信念が形成され、その頃に苦手としたことを、将来克服するのは難しい(決して無理ではない)とまで言われてます。
そうした、時期に作り上げられた価値観や信念の違いが、人の多様性を生み出していて、上司との人間関係においても、価値観や信念の違いが居心地の悪さに繋がっています。
上司部下の人間関係は複雑
単に、価値観の違いで起こる人間関係のズレですら、難しい問題になるケースが多いが、今回スポットを当てているテーマは、上司との人間関係であるが故に、その解決に向けた難易度は同僚や友人などと比較すると、格段に上がると思われます。
上司の厄介なアプローチ
まず厄介なのが、上司が自身の価値観や信念に基づくスタイルを良しとしていて、スタイルの異なる部下に対しても、自分のスタイルへと引き込もうとすることです。
例えば・・「お前はもっと仕事のスピードを意識しろ、何事も考える前に行動しないとダメだ!」
このケースでは、上司は仕事にたいして意思決定が早く、どちらかというと考えるよりも先に行動に移し、トライ&エラーを繰り返しながらゴールに向かうスタイルである、一方部下は、熟考型で動き出す前に全てのリスクを洗い出し、ゴールに向けて失敗のない道筋を見極めてから、行動に移すスタイルというプロファイルが出来ます。
人は相手を評価しレッテルを貼る
上司から見ると、すぐに動かない部下に対して苛立ちを覚えると共に、「出来ない奴」というレッテルを貼り、部下から見ると、考えが浅くいつも失敗を繰り返している「ダメな上司」というレッテルを貼ります。
こうなるとお互いが、自分のスタイルと相反する部分を否定し合い、歩み寄ろうという気持ちにさえもブレーキをかけ、人間関係が良くなる事はありません。
特に、上司と部下の関係の場合、多くがポジション的なパワーを上司が握っているので、部下は自分の自由に蓋をして、上司に従うしかない状況を生み出します。
仮に部下が自分のスタイルに理解を求めたとしても反論に合い、その傷はより深くなるだけでなく、場合によってはパワハラに発展していくケースさえあります。
どうすれば溝は埋まるのか?
では、どうすれば溝は埋まるのでしょうか?
自己認識
まず、あなたが、あなた自身を理解(自己認識)するところから始める事をオススメめします。
世の中には人をいくつかのスタイルに分けて、異なるスタイル毎にどういった特徴や欲求、物事を判断する上での優先事項があるのかを、理解するためのツールがあります。
まずは、そういったツールを使いながら、自分への認識を深めつつ、上司とのコンフォートゾーンの違いを言語として理解する事が一歩目です。
※このページの一番下にソーシャルスタイル分析シートを用意してますので、ご自由にダウンロードしてお使い下さい。
リフレーミングとは?
さらに自己認識、他者理解を深める中で、上司の嫌な部分を洗い出し、リフレーミングする事で、上司の態度や発言に対する意味付けをポジティブにとらえ直したり、その奥にある上司の言動や行動の根っことなる心理を想像してみる事で、上司に対する見方やイメージに変化が起こるかもしれません。
※以下は、リフレーミングと上司心理の一例です。
合わない上司とのコミュニケーションの取り方
自己理解、他者理解(上司理解)を通して、自分と上司との違いがわかったら後は、どうやってコミュニケーションをとるかです。
組織における相互補完とは?
一般的に、組織の中には異なるスタイルが混在し、それぞれが弱い部分を相互補完している状態が理想とされます。
つまり、相反するポジションにいるあなたと上司は相互補完し合える、非常に相性が良い関係ともいえます。
しかしながら、前述のように相互補完するべき部分を、相手の「出来ないところ」として見ている間は相互補完の機能は働きません。
では、どのようにアプローチをしたら良好な相互補完し合えるような関係に発展する事が出来るのか?
相手のコンフォートゾーンに入る
それは、相手のコンフォートゾーン(快適な空間)に入りながら、自分の主張を展開することです。ここで大切なのはあなたが、どの言葉を選び、どのような態度で接するかです。
言語、非言語どちらも重要なのです。
上の図の一番目のパターンの場合は、上司が目的、目標に向けて素早く行動し、その先にある目標達成や、業績の向上という分かり易い成果に優先順位があると思われます。※ここが上司理解
一方で部下であるあなたは、素早い行動よりも失敗しない為の道筋(プロセス)をしっかりと見極め、失敗する事によって目標までのスピードを落とさない事に優先順位を置いているとします。
なので、お互いの共通の成果は目標達成することです。
では、素早く動きたい上司にブレーキをかけ、もう少しの間考える時間を確保するには、どのようにしたら良いのか・・?
例えば以下のようなアプローチになります。
あなた「〇〇部長、是非このプロジェクトを達成させましょう!しかも、他のチームよりもスピードもクオリティも高いレベルで達成させましょう!」
部長「おおっ!そうだな!」
あなた「ところで部長、今回のプロジェクトのこの部分なのですが、この戦略で進めると、このようなリスクがあり、達成へのスピードを落としかねません、なので、少しだけお時間を頂き、もう少し考える時間を頂けませんか? 〇日までには結論を出し、その後は滞りなくプロジェクトを進める事をお約束しますので、何卒よろしくお願いします!」
このように全体の構成としては、まずプロジェクトの達成に合意(合意以上の熱い思いを表明するくらい)し、その上で「質」という付加価値を付けた上で、上司の中で優先事項が高い達成とスピードに対して、危機感を醸成しながら、最終的には自分のやりたい事を主張する、その際、リミットとして「いつまでに」と付け加えると、より承諾してもらえる可能性はさらに高まります。
そして、赤字にした箇所で使っている言葉は、上司が優先としているキーワードです。
それらのキーワードを多用する事が、相手のコンフォートゾーンに入る事であり、その姿勢が相手の共感を生み出し、結果としてこちらの要求も受け入れてもらい易い状況になります。
最後に・・
現実はしっかりと上司を理解して、適切だと思われるアプローチをしても全く効果がない場合もありますが、あなたが何も変化せずに、今まで通りのコミュニケーションをとっていても良い結果には繋がりません。
だからと言って、上司と部下の関係である以上、完全に人間関係を無視することも出来ません。
確かに、気に入らない上司に対して自分を変えてアプローチするなんて、プライドが許さないという方もいると思います。
でも、そうする事であなた自身が、少しでも仕事がやり易くなり、やりがいある職場へと変化し、いつしか合わないと思っていた上司ともググっと近づき、本当の意味で分かりあえる関係になっていたら、プライドと葛藤していた事なんて忘れているかも知れませんね。
相手を変えるには、自分が変わる。
あなたが、一歩目を踏み出せることを期待します。
文中で紹介したソーシャルスタイルの自己診断シートです。ご自由にダウンロードしてお使い下さい。
【働き方コーチ.com】ソーシャルスタイル自己診断シート
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