「主体性を発揮しろ!」って、言われるけど・・どうしたらいいの?

研修などの打ち合わせで、企業の人事や、事業部の責任者の方などと話をしていて、よく出てくる「主体性」や「当事者意識」というキーワード。

あなたも、もしかしたら上司や同僚から「もう少し主体性を発揮してくれよ!」とか、「当事者意識をもってもらわないと困るんだよ!」などと、言われたことがあるのではないでしょうか?

この主体性とか当事者意識とかって、具体的にはどのような行動や状態の事を指すのでしょうか? 「主体性を発揮しろ!」とか「当事者意識を持て!」と言われても、具体的に何をすれば良いのかわからない、どう行動を変えれば良いのかわからないし、そもそもそれってどうやって自分の中に、芽生えさせて定着させれば良いかもわからない・・そして、このふたつのキーワード、おわかりのように全く違う意味を持ってます。

違う意味を持っているという事はそこに期待する上司や同僚の言葉の裏には、全く違う行動変化を期待しているのではないでしょうか?

では、それぞれのキーワードの意味について考えてみましょう。

 

主体性とは?

主体性とは、簡潔に言うと「自らの考えと、意思決定により行動できる」状態の事です。

これを仕事の場面に置き換えると以下の様になります。

営業職の場合:上司から言われる事なく、自ら率先して新規開拓を行ったり、お客さまから要求がなくとも、契約後のフォローを自発的に行ったりする事。

事務職の場合:仕事の効率化等のために、現在使用している入力フォーマットの見直しを提案したり、誰に言われる事なく来客スペースの片づけや掃除をしたり。

などと、積極的かつ能動的に、仕事或いは職場をより良くするための発展的働きかけを行う事と言っていいでしょう。

逆に、主体性に欠ける人達はどのような状態なのか・・? ミッションに対するアウトプットは求められている範囲では出すが、結果を出すまでのプロセスの見直しや、そのミッションに対しての非効率な部分、つまり課題の発見と提案に乏しい状態と言えます。

 

当事者意識とはどのような事なのか?

当事者意識とは、自分が属しているチームや組織がとっている行動、又は求めている成果に関連して、自分自身がとっている行動や求めている成果が、直接的に関係すると理解し、常にその事を意思決定の基準にしている、という事です。これを仕事の場面に置き換えると以下のようになります。

営業職の場合:自社で販売するモノやサービスが、より良くクライアントに活用される為の改良点を模索したり、クライアントに対して、今までなかったような新たな活用方法を検討したりする事。

事務職の場合:自身が行っている事務処理、例えば請求書の発行だとか、契約書の発行などのルーティーンな作業が、単純な事務処理ではなく、遅延や不備を出す事でクライアントに迷惑をかけ、会社としての信用を失墜させることに繋がると、理解し事にあたっている状態。

逆に、当事者意識が低い人の思考や行動はどのような状態か・・? 特徴的なのは他責思考や、他力本願的な考えによるパフォーマンスの低下です。

主体性も当事者意識も意味はそれぞれ違いますが、求められている状態はかなり近い感じがしますね。

つまり主体性は態度、当事者意識は思考にカテゴライズされ、態度と思考を土台としたアウトプット(発言や行動)は全く同じ、もしくはニアリーなものを期待されているかもしれません。

 

なぜ、主体性や当事者意識が発揮出来ないのか?

 

大きな違いは、自分の仕事への意味付けです。

自分の仕事にどのような意味付けをしているか?、それによってその人の行動や思考は大きく変わってきます。

極端な例で言うと、経営者と従業員です。

経営者の場合

経営者、ましてや創業経営者であれば尚更ですが、主体性と当事者意識を持っていない人はまずいませんよね、その理由は簡単で、自社の発展や成長を誰よりも望んでいるのは、その事業を立ち上げた経営者だからです。

従業員の場合

一方で従業員の多くは、自分の生活を支える為に働いています。完全フルコミッションであれば別ですが、自分が結果を出そうが出すまいが、会社が成長しようがしまいが、自分の給料に変化はなく、それによって自分の生活水準が変わる事はないと考えているのです。

両者の大きな違いは「働く目的」にあると言えます。

 

働く目的とは?

つまり、働く目的をどこに置くかが、その人の主体性を発揮し当事者意識を高める事に影響を与えるのです。

では、経営者以外の働く人たちは全員が報酬のみを目的として働いているのか?

答はNOです。

実際には報酬だけを目的として働いている人は多いでしょう、しかし最近のダイバーシティ推進などで社会に出てくる機会が多くなった主婦層などは、働く目的を「社会との繋がり」や「自己成長」に置いている方も少なくはありません。

また、新卒の方の多くは入社する会社に、多くの可能性や期待を抱きながら入ってきます。もちろんその会社の給与水準も就活では大きな要素となりますが、それだけではなくやりがい社会貢献性も重視して会社選びはします。

 

働く目的が「報酬」は悪い事なのか?

ここまで書いて、なんとなく誤解されている方のために一応補足しますが、働く目的を「報酬」を得るため、とするのは悪なのか?

結論はOKです。

何故なら、その目的は誰もが持っている目的で、大多数の人たちは報酬が無ければ生活が出来ない(主婦の方などは例外もある)ので、報酬を得るために働くのは働く人たちにとっての共通目的と言っても良いのです。

しかし、今回のテーマである主体性を発揮するという事にスポットを当て直すと、やはり報酬だけを目的としていると、少し難しい面があるのです。

先にも述べた通り、報酬だけを目的にしている人の行動や思考の動機は給与の変化です。

自分の給与が増える事にたいしての前向きなモチベーションと、給与が下がるかもしれないという、回避的なモチベーションによってのみ、能動的に行動が加速するといってもいいでしょう。

だからこそ、主体性を発揮するためには報酬以外の「働く目的」が必要なのです。

 

報酬以外の「働く目的」とは?

上の図は、働く人のモチベーション階層です。

今のあなたはどの階層にいますか?

下の3階層は、全てベクトルが自分に向かっているのがお分かりでしょうか? 一番上の他者貢献だけがベクトルが自分から自分の外に向かっています。

そして上の階層行ったとしても、下の階層のモチベーションが消えるわけではなく、モチベーションの優先事項が変化するという意味です。

なので、下の階層にいたとしても他者貢献が全くないという事ではありません。

つまり、人は全てのモチベーションを持ち合わせているが、その優先事項は人によって違うという事です。

そして、今回のテーマである「主体性」や「当事者意識」は上の階層にいるほど、発揮されるのです。

 

仕事の目的を他者に向けるためには?

これは一長一短で変化していくものではありませんが、決して不変ではありません。

会社の価値観(ビジョンや理念など)と、会社が提供するモノやサービスの本当の価値、そして自分自身が持つ本当の価値観を理解し表層化して、それら3点を徐々に近づけていく事によって、自分が「仕事を通して社会に何をアウトプットしたいのか」を、具体化出来れば、きっとあなたも他者貢献の「働く目的」が持てるようになります。

「目的が変われば行動が変わる」「全ての行動は、自分自身が選択している」

心理学者のアルフレッド・アドラーはそう言ってます。

明確な「働く目的」を持つ事で、主体性が発揮され当事者意識が高まり、きっとあなたは楽しくイキイキと仕事が出来るキッカケを掴むことになるでしょう。

 


働き方コーチングとは・・

全ての働く人たちが「自分らしく」、「イキイキと」、「楽しく」働くための変革支援メソッドです。

 

コメントを残す