仕事で高いパフォーマンスを発揮するために最も重要な事:その2

前回は体の健康を保つために有効な手段を紹介したが、今回は心を鍛えるために有効な手段と根拠について紹介したい。

体と心の両輪が健康な状態である事で、人は仕事において良いパフォーマンスを発揮する事が出来る。

プロビジネスパーソンとして、準備をしっかりとする事が大切なのだ。

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心の鍛え方

心の鍛え方というと、そんなものあるのか?と思う方も多いと思う。

それが、瞑想である。

瞑想と言えば、宗教色バリバリのものをイメージする方が多いと思うが、ここでいう瞑想とは、宗教色一切なしのマインドトレーニングだ。

最近では、マインドフルネスとしてシリコンバレーを中心に、ちょっとしたブームにもなっており、GoogleやFacebook、Linkdinなどでは人材育成のメソッドとして定着している。

日本でも、YahooやSansan(名刺管理アプリEightを開発)などでも取り入れて、徐々に広がりを見せている。

では、何故瞑想が心のトレーニングとして有効なのかだが、私たち現代人が生きている環境は、時代と共に豊かになり便利になっている。

例えば情報量だが、2000年にはインターネットに溢れる情報量は62億GBだったのが、2013年には4.4兆GB、2020年は予測値だが44兆GBとなり、この20年の間に6000倍を超える増加が見込まれる。

今は何でもインターネットで知る事が出来る。

一方で、米マイクロソフトが発表した調査結果によると、2000年には、人の集中力が持続する時間を12秒であるとしたが、同社が2015年に調査した結果では8秒にとなり、4秒も縮まっている

ちなみに金魚の集中力は9秒らしい・・

1978年にノーベル経済学賞を受賞した、人工知能の生みの親と言われるハーバート・サイモン氏が、当時こんな名言を残している。

「情報の豊かさは注意の貧困をつくる」 ※注意=集中力

これを体現しているのが、現代に生きる私たちではないだろうか。

そして、SNSなどの普及でコミュニケーションの取り方が大きく変化し、便利になった一方で、膝を付け合わせての対話や、電話での会話などの時間が大きく減少し、相手の感情の機微に触れる機会も減った上に、不要不急な事への反応を余儀なくされる。

つまり、便利な世の中になる事とのトレードオフで、私たち「人」は人らしさを気付かないうちに損なっているのである。

それは、対人において相手の気持ちに立脚することや、あたり前が横行する事による感謝の気持ちの欠落、自動化が進むことによる創造性の欠如などだ。

現代はストレス社会

 

VUCAワールドと言われる変化に富み不確実で複雑で曖昧な環境下で、人らしく在る事において重要になるのが、メタ認知というスキルである。

メタ認知とは

メタ認知とは、認知を認知する力である。

認知を認知するというと、理解に苦しむかもしれないので言い方を変えると、自分を俯瞰する力とでも言おうか。

つまり、自分の今の状態に気付く力である。

焦っている時、緊張している時、怒っている時など、私たちはその時の感情に支配され、感情の赴くままに行動(反応)してしまう事があるだろう。

焦っていたら手に付くものも付かなかったり、緊張していると普段の実力を発揮出来なかったり、怒っていると怒りに任せて暴言や失言をしてしまったりする。

そんな時に、メタ認知が高ければその瞬間の自分の状態に気付く事ができ、冷静に次の行動を選択する事が出来るのだ。

このメタ認知は、特に前述した集中力に対して効果が絶大だ。

何度も繰り返すが、私たちの集中力は8秒である。

こんな事はないだろうか?

大事な資料作成をしている筈なのに、ふと気が付くと全く違う考え事をしていり、
本を読んでいる時、気が付くと内容を理解しないまま、2、3ページ読み進めていたり、相手と会話しているのに、頭の中では関係ない事を考えている。

これらは、デフォルトモードネットワークの仕業だ。

デフォルトモードネットワークとは、脳のアイドリング状態の事で、目の前の事に意識を向けずに思考が彷徨っている状態である。

それが何と、1日の中で40%~60%で起こっているという。

1日の約半分は思考が過去へ行ったり、未来に行ったりで今この瞬間に留まっていないのだ。

さらに、その彷徨える思考の80%がネガティブなものだと言うから厄介である。

これが、資料作成に集中していても、読書をしていても、会話をしていても、その行為から注意が逸れる仕組みである。

そして、メタ認知が高まるとどうなるか?

メタ認知とは自分を俯瞰する力であるので、目の前の集中しなくてはいけない事から注意が逸れた事に気が付くのだ。

注意が逸れた事に早く気が付ければ、さっさと目の前の集中すべき事へと戻れるのだ。

もちろん生産性も高くなるし、瞑想の実践を継続する事でネガティブバイアスが弱まり、少しだけポジティブになる事もわかってきている。

どうせDMNが活性化するのなら、ネガティな彷徨いよりもポジティブな彷徨いの方がお好みだろう。

そして、ポジティブなDMNはクリエイティビティを高める。

学術的根拠

瞑想によって脳の可塑性が発揮される事も証明されている。

可塑性とは変化する事を意味しており、脳の可塑性とは神経回路の再構築などにより、脳が鍛えれば進化する事を指している。

特に、瞑想によって影響があるのが、記憶をつかさどる海馬、感情をつかさどる扁桃体、相手の感情などを察知する前頭前野である事から、EQ(心の知能指数)にも良いとされている。

EQが高いリーダーは、部下や関連部署のメンバーへの配慮や、自分の行動や発言が関わる人たちにどのような感情変化を与えるかなどを感じる力が高い。

つまり、EQが高いと人間関係が上手くいき、不要なストレスに悩まされる事も少なくなる。

このような観点からも、瞑想が心のトレーニングとして有効であるのだ。

瞑想のやり方

1、骨盤を立て姿勢を伸ばし、椅子に浅めに座る←椅子でOK!

2、目は閉じるか、半眼でやや下めの前方3メートルくらいに目線を置く

3、手は膝の上に置き、深呼吸を2~3回

4、自然な呼吸をし、意識を呼吸へと向ける

5、呼吸から意識が逸れて、雑念に囚われる

6、逸れた事に気付いたら、呼吸に意識を戻す

7、逸れる、戻すをひたすら繰り返す

8、何回逸れても「ダメだ」などと考えず、ただただ呼吸へと意識を戻す

こんな感じで3分~5分でOKだ。

この、逸れる⇒気付く⇒戻すを繰り返すことで、筋トレで筋肉がつくようにメタ認知が鍛えられるのだ。

 

最後に・・

如何だろうか?

瞑想=宗教とか、スピリチュアルなどというレッテルが剥がれたら、是非実践してみてほしい。

思いのほか気持ちが良いと気付くだろう。

ところで、瞑想の効果はどれくらいで現れるのだろうか?

答は8週間である。

筆者自身も瞑想は長らく続けているが、感情のコントロールなどはだいぶ進化した実感がある。

さて、2回に渡って体と心の健康について様々ご紹介したが、皆さんは何を感じただろうか?

最近では健康経営などが提唱されるなど、健康と仕事の生産性が密接な関係にある事は間違いない。

しかし、限られた時間で何に集中するかは自分が決める事である。

是非、長いスパンで見た時の最良を選択して欲しい。


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