働き方改革!残業するなと言われるが実際どうしたらいいの?

ここ数年で一気に浸透してきた「働き方改革」、その働き方改革の代名詞と言えば残業低減である、しかし、この残業低減が思いのほかややこしい・・

今回は、その残業低減にスポットを当てたいと思う。

 

働き方改革とは・・?

そもそも働き方改革とはどのようなものなのか?本題に入る前に、まずここの理解を深めておきたい。

何故、今「働き方改革」なのか?

働き方改革は、日本の人口減少に連鎖する形で顕在化した、労働人口の減少という課題に向けた、国の政策である。

働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。

出典:首相官邸

国としての取り組みにおいて、様々な思惑がある事は横に置いといたとしても、働き手の減少は人事の採用担当の方や、HR業界関係者のみならず、広く共通の課題として広まっているのではないだろうか。

働き方改革って何をするの?

今回スポットを当てるのは、残業をどう減らせば良いか?というテーマだが、働き方改革の全貌としては、以下のような改革が求められている。

  1. 労働時間低減
  2. 女性の社会進出と活躍
  3. 高齢者の活躍
  4. 正規、非正規の格差是正
  5. 生産性改革
  6. パラレルワーク推進

1から4までは馴染みがあると思うが、5、6はピンとこないという方もいると思うので少しだけ補足する、生産性改善は読んで字のごとくだが、ここのポイントは2点で、一つ目はAI、IoTの活用によるもの、二つ目はイノベーションの創出である。

そしてパラレルワークとは、分かり易く言うと「副業、兼業」の事だ、実は、今年の1月に厚生労働省がモデル就業規則を改定し、事実上副業を認める内容に変わった、そのことからも国がパラレルワークを推進している立場である事が理解できるだろう。

(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行う
ものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会
社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合

出典:厚生労働省

 

残業低減による様々な問題

 

会社は「残業を減らせ!」としか言わない・・

〈年間総労働時間目標2000時間! 有給取得10日! 月間残業時間15時間以内!〉

このような目標を掲げている会社は多いと思う、しかし、つい何年か前まで「結果が出るまで仕事から離れるな!」的なスローガンを掲げて、36協定ギリギリの月間45時間まで、若しくはそれ以上に半ば強制的に残業してきた、あるいは強制でないとしても、帰れない雰囲気の中で時間に合わせて仕事量を増やしてきた、そんな事が当たり前に横行していたのに、突如として残業時間をその半分以下に減らせというのだから大変だ。

しかも、多くの会社で「具体的にどう減らすのか」、というところまで言及してないのが現状だ、加えて求められる成果は残業時間と反比例して高くなり、人を増やしてその穴を埋めようにも、前述した通り求人マーケットは前例がないほどの採用難である。

残業低減によって減る給与

さらに、働く人にとって大きな問題が「給与問題」である、残業が減るのと並行して残業代が減る、残業代が減ると給料が減る・・、もちろん残業代という変動性の高い部分の所得を織り込んだ上で、生活設計するのはいただけないが、何年にも渡って、本来変動給与である残業代が、定額の様に支払われて来た事を考えると、当事者においては深刻な問題だ。

残業代の補填施策(労働時間・業績生産性インセンティブなど)を実施している企業もあるが、ほんの一部というのが現実である。

 

どうやって残業を減らすの?

 

諸々の問題はありながらも、残業削減は避けようがない方向性であり、労働環境を整える事は採用難のマーケット環境において、離職防止対策としても有効だ、ここからは今回のテーマの核心である、どう残業を減らすのか?について考えて行きたい。

無駄な仕事を捨てる

まずは、現在行っている仕事を見直してみよう、「そんなこと、とっくにやっているよ」という声が聞こえてきそうだが、今一度、自分の仕事を振り返ってみてほしい、本当に「無駄」や「余計」はないだろうか? その際に重要になる目線は、当たり前のように日々行われている常識を疑ってみる事だ。

よく、企業の立て直しなどでも使われるが、スクラップビルドの考えを持ってゼロベースで再構築していくと、思いもしない「これ、いらないんじゃない」が発見できるものだ、是非チャレンジしてみてほしい。

マインドフルネスの実践

マインドフルネス瞑想をご存知だろうか?北米では既に一般化され、日本でもここ数年で徐々に広がりを見せている、シリコンバレーでは会社内に、meditation room(瞑想室)がなければ「優秀な人材が採用出来ない」とまで言われるほどだ。

北米を席巻するマインドフルネスとはどのようなものなのか? 一言で説明するなら「今、この瞬間のあるがままに集中し心や体の状態に気付く」という事だ。

では、このマインドフルネスが、なぜ残業を減らす事に役立つのか? それは集中力が逸れた事に気が付く力である、「メタ注意力」を鍛える事で集中力が高くなり、目の前の仕事に集中し生産性高く処理する事が出来るようになるという理由だ。

わかりにくいと思うので、エビデンスを交えながらもう少し説明したい。

DMNとは、心がさまよっている状態

ヒトの体の中で、最もエネルギーを使っているのが脳だというのは有名な話だが、実に体全体の20%ものエネルギーを消費してる、そして、脳の活動の中でも60%から80%を占めているのが、DMN(デフォルトモードネットワーク)という活動だ、DMNとは意識的な活動をしていない時に働く、いわば脳のアイドリング状態のである。

ふと気が付けば、ぼーっと考え事をしていたり、本を読みながらも違う事を妄想していたり、人の話を聞いている最中でも別の事を考えていたり、資料作成に集中しているつもりでも周囲の話声が気になったりと、日常の様々なところで、このDMNは活動しているのだ。

これが日常的に60%以上だとすれば、大変な事である、ほとんどの人は大半の時間を注意散漫な状態で仕事をしているという事になる。

マインドフルネスの実践法

そこでマインドフルネス瞑想の実践が効果的なのだ、マインドフルネス瞑想の実践方法を簡単に説明すると、楽な姿勢をとり、心を落ち着かせて呼吸に意識を向ける、鼻から息を吸いまた鼻から息を吐く、これを繰り返す、その間に様々な雑念が沸き起こり注意が逸れる、逸れた事にに気付いたら意識を呼吸へと戻す。

これを繰り返す事で、「注意が逸れた事に気が付く力」、つまり先述した「メタ注意力」が鍛えられ、集中時間を向上させる事が出来る、その効果は絶大であるが、効果が出るまでには8週間程度かかるという論文もあるので、我慢強く継続してみましょう。

実はこのマインドフルネス、生産性改善でポイントに挙げた、「イノベーション」に欠かせない「創造性」を豊かにする事でも知られている、他にも大変素晴らしい効果があるので、詳しくマインドフルネスについて知りたければ、是非この本を読んでみて欲しい。

 

 

整理整頓

そして最後に提案するのが、整理整頓のススメである。

探し物に費やす時間はどれくらい?

ビジネスマンが1年間で、探し物に費やす時間をご存知だろうか、答えは150時間である、実に1年のうち1か月近く、探し物をしている事になる。

つまり、普段から整理整頓を心掛けて、それを習慣化することによって、仮に3分の2の探し物時間を減らせる事が出来れば、年間100時間の労働時間削減に繋がるという理屈になる。

ホントに150時間も探してるの? という疑問もあるだろうが、振り返ると結構探しているのでは・・という気がしてくる、ぐちゃぐちゃの机の中、山積みになった書類、フォルダだらけのデスクトップ、会社のポータルサイトの中で申請書を探しまくる。。せっかく作った資料が見つからなければ作り直しにかかる時間もある。

特に、自分は整理整頓は苦手・・という方は効果抜群かと思うので是非。

 

最後に・・

 

多くの企業で、働き方改革という旗振りのもとで、残業時間の過少申告という問題が水面下にある、会社側も表層的な部分である数字、つまり労働時間が減ったことで素直に喜べないのは恐らく理解はしてるが、顕在化していない課題には本気で取り組めない、いわば見て見ぬふりをしている状態である、これは決して健全ではない。

だからこそ、具体的かつ実践的で、効果があるナレッジを出し合い、横展開していく事が重要なのではないだろうか。

それと、働き手の課題の一つである給与問題だが、是非、残業が減った空き時間を使って自分を高めてみたらどうだろうか、これから益々進むパラレルワーク時代においては、社会人の「学び直し」も将来設計で大切な時間となるはずだ、空いた時間で飲みに行ったり、スマホゲームをするなどの息抜きも必要だが、少しだけでもいいので未来のために今の時間を使うのも悪くはないと思う。

 


働き方コーチングとは・・
全ての働く人たちが「自分らしく」、「イキイキと」、「楽しく」働くための変革支援メソッドです。

働き方コーチングでは、マインドフルネス瞑想の実践支援も行っております。

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