営業力UP!クライアント企業のキーパーソンから信頼を得る方法 その2

この記事は、「営業力UP!クライアント企業のキーパーソンから信頼を得る方法 その1」の続編である、前回の記事では、以下の事をお伝えしたのでまとめておきたいと思う。

  1. 自分は何者なのか?:自らの価値を明確にする事と、営業としての心得
  2. キーパーソンとの関係構築の方法:心理学を用いた接近法

詳しくはこちらから⇒営業力UP!クライアント企業のキーパーソンから信頼を得る方法 その1

今回は、実際の商談シーンにおける後半である、ニーズを引き出しウォンツへ変換するところから、クロージングまでを紹介したいと思います。

 

ヒアリング(質問)のチカラ

売り込まない

ラポールを使い、場が温まってきたらいよいよ本格的なビジネスの話に入って行くわけだが、ここで心掛けてほしいのは「とにかく相手に喋らせる」ことである。

理想としては8:2くらいで相手からコメントを引き出したいが、営業のサガとでも言うのだろうか? ついつい売りたい気持ちが前面に出てしまい、自社の商品やサービスの良さをアピールしたいがために喋りすぎてしまう。

相手の課題が見えない状況でこちらの良さをアピールしても、暗闇の中にある標的に向けて銃を撃ちまくっているだけで、相手に刺さる言葉は投げる事は出来ないばかりか、相手にも「売りたいオーラ」がビシバシに伝わってしまい、逆効果である。

ヒアリング

では、どうやって相手のニーズを引き出すのか? ニーズは質問によって引き出すのだ、そこで大切なのがヒアリング能力になるのだが、ヒアリングにも2種類の目的がある。

  1. 自分が知りたい情報を引き出すヒアリング
  2. 相手に気付き(内観)を促すヒアリング

情報を引き出すヒアリング

これは恐らく誰もが出来ていることだろう、簡単に言うとクライアント企業の情報を得ることだ、その目的は主にターゲット顧客として継続的に販促活動するに値するか?を判断するための材料集めである。

  • 競合他社からの購買状況
  • 従業員人数などの取引規模
  • 予算情報

これらをヒアリングし、取引した後の売上規模や契約期間などを予測するのだ。

気付きを促すヒアリング

営業の商談において、このフェーズが最も重要です。

ここまでいくら良い関係が築けて来たとしても、ここで深いアプローチが出来なければより良い契約に結び付く事はありません。

そして気付きを促すヒアリングは以下の4つのステップに細分化されます。

  1. 状況のヒアリング
  2. 問題のヒアリング
  3. リスクのヒアリング
  4. 解決のヒアリング
状況のヒアリング

ここでは、クライアント企業の現状、つまりありのままをヒアリングして行きます。

例えば・・人材派遣営業の場合

  • 現在の人員の充足状況
  • 現在の募集、採用の状況
  • 今後の欠員予定
  • 今後の増員予定
  • 従業員、他社派遣スタッフの定着状況

などが挙げられます。

問題のヒアリング

次に、状況のヒアリングから見えてきた問題点について掘り下げて行きます。

例えば・・人材派遣営業の場合

  • 現在、欠員がでているという事ですが、タスクの進捗などは問題ないのですか?
  • 採用が進んでないという事ですが、何が原因とお考えですか?
  • 増員を控えてらっしゃるとの事ですが、どのような募集媒体をお考えですか?
  • 離職率が高そうですが、どのような理由が思いあたりますか?

ここでの注意点は、相手の捉え方によっては「不快感を与える」ことである、なので「すでにご検討されていると思いますが」や「すでにお気付きだと思いますが」などのクッションとなる言葉を差し込む事で、やわらかい印象を与える事が出来る。

そして、問題のヒアリングでは深く掘り下げる事を意識して欲しい、そのための質問として「他には?」、「さらに良くするには?」などを活用し、キーパーソン自身が気付いてない潜在ニーズの獲得を目指して下さい。

リスクのヒアリング

ここでは、問題が解決されない場合のリスクについてヒアリングをして行きます。

例えば・・人材派遣営業の場合

  • 欠員状態が続くと、どのようなリスクが考えられますか?
  • 採用が進まないと、どのような影響が考えられますか?
  • 離職率が高止まりする事で、どのような問題が出そうですか?

ここでは、人が持つ回避思考の部分にアプローチして、「問題を解決したい」という危機感を引き出します。

そのことによって、最後のステップである解決のヒアリングが、より活性化するのだ。

解決のヒアリング

最終的な、まとめに入る段階である、ここでは大きく2つの質問で「不」の解消に向けた、キーパーソンの気付きを促していく。

例えば・・ここは人材派遣営業に限らない

  • この問題の解決策として、どのような選択肢が考えられますか?
  • この問題の解決策として、このような方法もあると思いますが、如何ですか?

ここでのアプローチの方法は大きく分けて2種類だ、キーパーソンに選択肢を絞り出してもらうのと、こちらからの示唆に対して考えてもらう事である。

そして、キーパーソンの中で問題の解決策が絞り込めてきた状況で、自社の商品やサービスが、問題解消にいかに有効かを伝えていく、いわゆるプレゼンのタイミングということである。

このようなプロセスを踏むことで、やみくもに商品、サービスの良さを伝えるよりも「的を得た」伝え方が出来るのだ。

プレゼンテーション(解決策の提案)

いよいよプレゼンのフェーズに来た、あなたの会社の商品やサービスが如何に相手のベネフィット(利益、役に立つ)となるかを伝え、ニーズからウォンツへと購買意欲を高め、意思決定へと繋げるかの重要な場面である。

プレゼンの順序は以下のとおりである。

  1. 効果(ビフォーアフター)
  2. 具体的解決策(どうすれば、どうやれば)
  3. 根拠(なぜそうなるのか)
  4. 実績(事例)

まず、相手が知りたい効果から伝える、そして具体的方法と根拠や理由、具体例や実績を明示し、最終的に、「だから”ビフォーアフター”なんです。」再度伝える。

ヒアリングのフェーズから、その場でダイレクトにプレゼンに入るか、一旦持ち帰ってクライアント向けの資料を作り込んでからプレゼンするかは、その時の状況次第だが、「鉄は熱いうちに打て」「思い立ったが吉日」と言うように、持ち帰る場合はその場で次のアポイントを取り付けよう、そして、次のアポ日までは長くても3日以内である。

競合他社とのコンペティションになった場合は、出来るだけ最後にプレゼンの時間をもらいたい、何故なら、最後であればプレゼンが終わってから競合他社のプレゼンの感触が訊けるからである、最悪感触が悪ければ再交渉の時間もある。

そのような理由から、クライアントのお任せでアポイントをとるのは避けなければならない。

クロージング

 

クロージングとは意思決定に向けての後押しの作業である、ここでは乗り越えなければならない壁がいくつかある。

反論

キーパーソンから「この部分は矛盾があるのでは?」「この金額だと高いな!」「本当に効果あるの?」などの反論が出る事はよくあります。

反論≠断り文句、と理解しましょう、反論が出るのはクライアント側があなたの商品、サービスに興味を持っている証拠であり、逆に見ると「この壁を乗り越えてきたら契約しますよ」という意思決定寸前の「迷いの要素を打ち消してくれ!」というサインである。

なので、怯まずに対処してほしい。

反論で最も営業泣かせなのが、価格に対しての反論だ、しかもそこに競合他社などのモノサシが加わると更にややこしくなる。

なので、競合他社がプレゼンに参加している場合は、出来るだけ他社の情報を収集し、「あなたの会社と競合他社の違い」について用意しておきたい、明確な差別化が伝えられるほど、競合他社との価格差は埋められるはずだ。

そこを納得してもらっても、尚高いとおっしゃるなら、商品、サービスの直接的な価格の話題からもう一段レベルを上げて投げかけてみるのが良い。

例えば

「御社が目指すビジョンを実現するためにも、弊社の商品、サービスはお役に立てると自負しておりますが、その観点から見ても割高でしょうか?」

「価格を落とすには、サービスレベルを落とせばよいので簡単ですが、それで御社の課題が解消されなければ、安い金額とは言えコストになり、その上問題も継続していきますが、そこはどのようにお考えですか?」

このように、目的追求の欲求を喚起し、結果将来得られる利益をイメージしてもらう、若しくは、問題回避の欲求を喚起し、結果想定されるリスクをイメージしてもらう、最終的には将来の利益orリスクと見積金額の比較になる。

反論に対して、あなたにヌケモレがあった場合は対処するが難しいケースもあるだろう、その場合は「その部分の懸念が解消されれば、契約して頂けますか?」と確認し、出直す事だ。

最終確認

反論をクリアすれば、あとは契約書にサイン!ではなく、最終的な懸念点や不安な部分が無いかを確認して下さい。

最後は、営業担当者として誠心誠意事にあたると、情熱をもってお伝えして下さい。

あなたが、本気で熱い思いを伝えれば、キーパーソンのエモーショナルな部分にも訴求出来るはずです。

 

最後に・・

大学生が就きたくない職業の第1位は営業です。

理由は

  • ノルマが嫌
  • 売り付けるのが嫌
  • お客にへコヘコしたくない

営業と言う仕事は、素晴らしい仕事です。

何故か? これほどに人間力を磨ける仕事は他にないからです。

上司、先輩、同僚からは勿論ですが、お客さまからも成長させて頂ける

あなたは営業パーソンですか?

もしそうだとしたら、この素晴らしい仕事の本当の価値を、後輩たちに語り継いで下さい。

そして、今回の記事があなたのお役に立ったなら幸いです。


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